第103回薬剤師国家試験問173薬物動態計算の解説
こんにちはシグロです!今回は前回の話の例で挙げた第103回薬剤師国家試験問173の計算問題を解説していこうかと思います!
前回の記事をまだ読んでいない方はぜひこちらもご覧くださいね ^^)
sguro35pharmacist.hatenablog.com
それでは見ていきましょう。
まず解くうえで、最低限式は把握しましょう。私個人の意見ですが薬物動態は式ゲーだと思っています(笑) なのでぜひ覚えてくださいね。
まずは文章中に出てくる数値を整理しましょう。
「静脈内投与量Div=100mg」、「AUCiv=1.0mg・h/L」、「静注における代謝物の尿中排泄量Xm=20mg」、「経口投与量Dpo=200mg」、「AUCpo=0.8mg・h/L」、「肝血流速度速度Q=80L/h」。
そしてこの静注と経口投与がでてくるパターンの問題は図示することが大事になります。
基本的に経口投与した薬物は、小腸で吸収され門脈を通り、肝臓で肝初回通過効果を経て全身に移行します。全身に移行した薬物は、代謝されるか未変化体のまま尿中に排出されます。 この考え方はとても大事になりますので覚えましょう。
そして頭の中で整理するだけでなく、実際に上図のようなものを描いて解くようにしましょう。
数値と図を整理したらまずは静注に関するデータを考えていきましょう。経口投与のデータは全身に移行するまで吸収・代謝を経るため、経口投与量と全身に移行した量が変わってきます。その分計算も複雑になるため文章中のデータだけでは解けません。しかし、静注はダイレクトに血中に薬物が移行するため静脈内投与量と全身に移行した量は同じになります。したがって考えやすい静注データを起点にしていきましょう。
では早速静注のデータを見ていきましょう。
暗記した式を思い浮かべます。するとDivとAUCivでCLtotが出ますね。100mg×1.0mg・h/Lより100L/hがでますので選択肢2は正しい記述です。
また、文中より薬物はすべて尿中に排泄されると前提があるので、静注における代謝物の尿中排泄量Xm=20mgより未変化体の尿中排泄量は100mg-20mg=80mgとなります。
つまり100mg静注のうち、20%は肝代謝、80%は腎排泄で消失したため、肝クリアランスは100L/h×0.2=20L/h、腎クリアランスは100L/h×0.8=80L/hとなります。したがって選択肢3は正しい記述です。
さらにCLtotがでればAUCpoとの積で経口投与後全身に移行した薬物量がでるため、100L/h×0.8mg・h/L=80mgがでます。つまり200mg経口投与しそのうちの80mgが全身に移行したため、生物学的利用率は40%となり選択肢1は正しい記述です。
20%は肝代謝、80%は腎排泄で消失するため、全身に移行した80mgのうち16mgは肝代謝、64mgは腎排泄で消失することが分かります。
ここまでを図で示すとこうなります。
さて、肝抽出率ですがEh=CLh/Qhより、肝クリアランスと肝血流量はすでに出てるため、Eh=20(L/h)/80(L/h)=0.25となるので選択肢4は正しい記述です。
残る選択肢5が誤りとなりますが、この答えを導きだすのが苦手な方も多いかもしれません。
ここで注目すべきなのが肝抽出率です。肝臓に移行した薬物量のうち、25%が抽出され消失していく、つまり75%は全身に移行します。
したがって、肝臓に移行した薬物量をXmgとおくと、X×0.75=80mgとなるためX=106.66mgがでます。
よって、200mg中106.66mgが門脈に移行したことがわかるため答えは53.3%になります。
いかがでしたか?この手の問題は反復して解くのが一番ですね。ぜひ自分なりの解き方をルーティン化してくださいね。
それでは今日はこの辺で~