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第108回問114の問題解説(薬剤師国家試験)

こんにちは!薬剤師のシグロです。

今回は108回薬剤師国家試験の問114についてできるだけ分かりやすく解説していこうと思います!

参考までにどうぞ!

早速問題を見ていきましょう。

厚生労働省より

厚生労働省より

厚生労働省より

厚生労働省より

厚生労働省より

答えだけ見たい人はこちらから

範囲は生物ですが、解くにあたりアミノ酸の等電点など、物理、化学の知識も必要になります。

まず文中の二次元電気泳動法、等電点電気泳動法、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法の言葉を聞き、どのような泳動法であるかの知識が必要になります。この場合二次元電気泳動法は知らなくてもいいですが、等電点電気泳動法、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法は最低限覚えておきましょう。

等電点電気泳動

 電極間にpH勾配を形成させ、等電点の異なる物質を分離する方法。等電点とは両性化合物において分子全体の電荷が0になるときのpHです。アミノ酸もアミノ基、カルボキシ基から成るため正の電荷、負の電荷を持ちます。したがってペプチド、タンパク質の分離が可能です。

等電点電気電気泳動法の仕組み

SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動

タンパク質をドデシル硫酸ナトリウムで複合体を形成させ、ポリアクリルアミドゲルで分離する方法。タンパク質は立体構造などにより電荷や分子量がバラバラであるため、還元剤(2-メルカプトエタノールなど)を用いてジスルフィド結合SーSを切断し、陰イオン性界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウムを加えに帯電させます。その後タンパク質の分子量に応じてふるい効果により分離させます。

SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法の仕組み

これらを押さえたら早速選択肢を見ていきましょう。

選択肢1

等電点が5.8より小さい、ということはpHが5.8よりも小さい位置(Aより右)で止まることが分かります。さらに分子量が56000より大きいということはそれだけ泳動の進みが遅くなるわけですからAより上で止まることが分かります。したがって記述は正しいことが分かります。

選択肢2

スポットAの等電点は5.8、中性の水溶液のpHは7.0であることから、スポットAのタンパク質は中性溶液中において等電点より高いpHになるためより多くH+を放出し全体として負の電荷を帯びます。逆に等電点より低いpHではより多くH+を受け取るため正の電荷を帯びます。この知識はイオン交換クロマトグラフィでも必要になりますのでぜひ覚えましょう。したがってこの記述は正しいことが分かります。

選択肢3

等電点が5.8ならばスポットAと同じpHに位置するはずですからこの時点で間違いであることが分かります。正しくは6.8でしょう。

選択肢4

分子量が56000であるスポットAのタンパク質より下にスポットしているわけですから分子量が小さいことが分かります。したがって正しい記述です。

選択肢5

この記述は少し難易度が高いですから消去法でいいと思います。まずリン酸化を受けるアミノ酸セリン、スレオニンチロシンの3種類ですね。必須でも出題されやすいのでぜひここで覚えましょう。水酸基OHがリン酸化を受けます。リン酸化されたタンパク質は酸性に偏るため等電点も低くなります。さらにリン酸が結合するため分子量も大きくなります。したがって等電点が低くなるために、分子量が大きくなるためにスポットされることが予想されます。よって正しい記述です。

いかがでしたでしょうか。この問題は実験の仕組みを理解すればそこまで難しくはないと思います。勉強頑張ってくださいね!

それでは今日はこの辺で〜