こんにちは!薬剤師のシグロです!
今回は第108回薬剤師国家試験問97の問題解説を分かりやすくやっていきます!
早速見ていきましょう
最近の国試は今回のような定性分析や定量分析の問題が必ず1問出題されるようになりましたね。苦手な方も多いと思います。私も苦手な範囲でした笑
実験問題や計算問題を解く上で文中のキーワード探しは重要になりますが、今回のような長文や情報が多すぎる場合、問の選択肢を元に探してみるといいかもしれません。ですのでまずは文中を見て純度試験と定量分性をしてるな〜って分かればOKです。
選択肢1
では選択肢1を見てみましょう。
検出器の光源にはタングステンランプが用いられる、とありますので問題文の検出器を見てみましょう。可視吸光光度計とあります。つまり可視吸光光度計の光源を覚えていれば解ける問題です。光源にはタングステンランプが用いられるのでこの選択肢は正しいです。
これで満足するのではなく成績のいい方は紫外部、蛍光光度、赤外線吸収スペクトル測定法、原子吸光光度などの光源はあれだったな、と関連付けて覚えていますのでしっかりと他の光源も押さえましょう。確実に解きたいラッキーな選択肢ですね。
選択肢2
固定相は陰イオン交換体とあります。このキーワードでイオン交換クロマトグラフィーのことだなと分からなければいけません。つまり問題文のカラムのところに注目すれば良いわけです。見てみるとポリスチレンにスルホン酸基を結合した液体クロマトグラフィー用強酸性イオン交換樹脂を充填する、と書いてあります。スルホン酸基は酸性であるため陰イオンとなります。ですから移動相から流れてきた陽イオンをキャッチすることになります。言い換えると陽イオンを交換できるのでスルホン酸基は陽イオン交換体に分類されます。したがってこの記述は誤りです。この選択肢も確実に解きたいですね。
選択肢3
選択肢3もイオン交換クロマトグラフィーに関する記述ですね。この選択肢も知っていれば解ける問題です。イオン交換クロマトグラフィーにおいて陽イオン、陰イオン交換樹脂でそれぞれスタートの移動相のpHが変わってきます。基本的にアミノ酸と樹脂が結合している状態からスタートさせます。理解する上でアミノ酸の等電点が関わってきます。等電点については別の記事で詳しく解説しているのでこちらもぜひどうぞ。
sguro35pharmacist.hatenablog.com
まず陽イオン交換樹脂を用いた場合、樹脂と結合している状態にするためにアミノ酸を陽イオンにさせる必要があります。pHを低くすればするほど正に帯電するアミノ酸が多くなるので移動相もpHの低い状態から流していきます。陰イオン交換樹脂はその逆で、樹脂結合している状態にするためにはアミノ酸を陰イオンにさせる必要があります。pHを高くすればするほど負に帯電するアミノ酸が多くなるので移動相もpHの高い状態から流していきます。したがってスルホン酸基は陽イオン交換樹脂でありpHの低い状態から徐々に上げていくためこの記述は正しいことになります。
この選択肢は他の1、2に比べ知らなくても問題ないかと思います。余裕があれば頭に入れときましょう。※溶出の順番はぜひ押さえてください!
選択肢4
プレカラム誘導体化法という言葉が出てきました。プレカラムが出ればポストカラムという言葉もあることを覚えてなくてはなりません。いわゆるアミノ酸のラベル化について理解しているかの記述ですね。問題文をみると反応試薬にニンヒドリンと書いてあります。過去問にもよく出てきます。まずはプレカラムとポストカラムの違いを理解しましょう。プレカラムは試料をカラムに通す前にラベル化を行い、ポストカラムは試料をカラムに通した後にラベル化を行う方法です。ニンヒドリンはアミノ酸と反応し青紫色の化合物を生成します。高感度で検出できるため汎用されていますが、アミノ酸の種類によらず単一の色素を生じるためカラムに通す前に反応させてしまうと区別がつかなくなってしまいます。したがってまず試料をカラムに通し分離させてからニンヒドリンを反応させる必要があります。つまりニンヒドリンはポストカラム法にのみ利用されます。よって記述は誤りです。
選択肢5
選択肢4でニンヒドリンがアミノ酸と反応し青紫色の化合物を生成すると言いましたが例外があります。それが唯一第二級アミノ酸であるプロリンです。プロリンはイミノ酸とも言われ、ニンヒドリン反応で黄色を呈します。これは必須やCBTレベルで出題されるので知っておかなくてはならない知識です。必ず覚えましょう。したがってこの記述も誤りです。
以上まとめると答えは選択肢1と3になります。問97は覚えておくべきことが問われているのでそこまで難しくはない問題ですね。キーワードをしっかり探して確実に解いていきましょう!
問98は次回解説しようと思います!
それでは今日はこの辺で〜
この問題の意図