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第104回薬剤師国家試験問115 レポーターアッセイの解説

こんにちはシグロです!

最近の国試は実験問題が多く見られますが、その一つに国家試験104回の問115で出題されたプロモーター解析実験があります。受験生の皆さんは解説を見てしっかりと理解できたでしょうか?もしかしたらなんとなくで終わっている方も多いかと思います。

実はこのプロモーター解析実験であるレポーターアッセイはとても奥が深いんです!理解できれば次類似問題が出題されたとき解きやすくなると思うので今回はレポーターアッセイについて問題解説も踏まえ解説していこうかと思います!

目次

レポーターアッセイの目的

まずはレポーターアッセイの目的ですが、プロモーター解析とあるように自分が調べたい未知転写制御配列がエンハンサー(転写を活性化させる配列)としての役割をもつのか、あるいはサイレンサー(転写を抑制させる配列)としての役割をもつかを調べるために用います。その未知転写制御配列の活性測定には酵素活性、化学発光、あるいは蛍光の強度などを指標に用いますが、その中でよく使われているのがホタルやホタルイカに見られるルシフェラーゼです。

     

活性測定の仕組み

それでは活性が測定できるまでの仕組みについて説明します。ざっくり言いますと、 ルシフェラーゼ遺伝子が組み込まれたプラスミドを用意するその上流側に自分が調べたい未知転写制御配列を連結させる→細胞に導入する→活性を測定する というような流れになります。くわしく見ていきましょう。

まずルシフェラーゼは酵素であるのでルシフェラーゼ遺伝子から転写翻訳させる必要があります。転写は転写因子によって調節されているため、転写を促進させる転写因子が結合できる配列(エンハンサー領域)が存在すればルシフェラーゼが多く発現し、逆に転写を抑制させる転写因子が結合できる配列(サイレンサー領域)が存在すればルシフェラーゼの発現量は少なくなるはずです。

つまりルシフェラーゼ遺伝子の上流側に自分が調べたい未知転写制御配列を組み込み、ルシフェラーゼ発現量の違いを測定することでその配列がどのような役割を持つのかが分かるというわけです。

      

問題解説

では実際に解説していきます!

まず選択肢1.2ですがこれは知っていないと分かりませんね。なのでいったん飛ばしましょう。ちなみに1.2は正しい記述です。

問題は選択肢3番以降ですね。選択肢3は-80bp~40bpを含むA~Dと含まないEを比較すれば大丈夫です。A~Dは薬物アにおいて同じ活性を示していますが、Eだと活性が低下しています。つまり-80bp~40bpでは転写を促進させるような配列が含まれることが示唆できます。

選択肢4も同様に-120bp~80bpを含むA~Cと含まないDEを比較すれば大丈夫です。グラフを見るとあきらかに薬物イはBとCとの間で変化しています。つまり-160bp~120bpにおいて転写を促進させるような配列が含まれることが示唆できます。したがって誤りの記述です。

選択肢5は-40bpしか含まないEのグラフをみると薬物で処理しても活性は変わらないため正しい記述です。

したがってこの答えは4となります。

まとめ

いかがでしたか?レポーターアッセイは一回仕組みを理解すれば問題文を読まずとも図のみで解けるようになります!今後再出題される可能性は十分あると思うのでぜひ押さえてくださいね!

それでは今日はこの辺で~