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誰でも分かる!PCR法とプライマー設計①

こんにちは!新人薬剤師のシグロです!

新型コロナウイルスが日本に広まりはや3年、PCR検査を受けた方も多いかもしれません。私も去年受けました。検体接種に大量の唾液を消費した記憶があります(笑)。

このようにPCRというワードが世に広まり、世間の関心が高まっています。もちろん薬剤師国家試験にも影響しており、事実106回の国家試験ではリアルタイムPCRが出題されました。そして今後もPCR法に関連した問題が出題される確率が高いといえるでしょう。そんなPCR法で重要となってくるのがプライマー設計です。100回の問117でも問われています。あくまで私の憶測ですが、プライマー設計は再出題する可能性があるのではないかと踏んでいます。

そこで今回はPCR法の仕組みについて、次回にプライマー設計についてお伝えできたらと思います。最後まで見て頂けると幸いです!

 

目次

PCR法の仕組み

PCRとは?

PCR法は polymerase chain reaction (ポリメラーゼ連鎖反応)の略です。細胞が分裂を行う際、DNAの複製を行います。複製にはDNAポリメラーゼという酵素が関与しており、この複製を人工的に行う方法がPCR法です。言い方を変えると自分が増やしたいDNAの配列を人工的に増幅させる方法となります。

    

材料

では人工的に増やすには何が必要になるでしょうか?まずは増やしたいDNAの配列です。次に複製を行う酵素であるDNAポリメラーゼ、そして複製スタートの起点となる2つのプライマー、最後にDNAの構成成分であるdNTP(デオキシリボヌクレレオシド三リン酸)が必要になります。

カニズム

まずDNAは二重らせん構造(二本鎖)をとっているため、加熱し熱変性(約94℃)を起こさせ1本鎖にします。

温度を約65℃にすることで今度はプライマーがそれぞれ一本鎖DNAの相補的な配列に水素結合します(アニーリング)

今度は約72℃にすることでそのプライマーをもとに、DNAポリメラーゼがDNDの材料であるdNTPを使って新しい鎖を伸長させていきます。

これらの操作を繰り返すことで理論的には2ⁿ増えることになります。ちなみに温度は実験の条件次第で変わってくるのでざっくりでいいと思ます。ここで注意してほしいのは、実際増やしたい配列ができるのは3サイクル後からということです。

つまり理論的にはインサートDNA(本来増幅したかった二重鎖DNA)は3サイクルで2つ、4サイクルで8つと 2ⁿ-2n だけ増えていくことが分かります。   

まとめ

いかがでしたか?今回はPCR法についてお伝えしました。この範囲は模試でもよく出るのでぜひ覚えてくださいね。また、PCR法は高熱条件で行われるため不安定なRNAは増幅できません。すなわちコロナウイルスRNAのみ保有しているためいったん逆転写を行いcDNAにさせる必要があることには注意してください。この逆転写とPCR法を組み合わせた方法をRT-PCRと言いますがこちらはまた今後解説できたらなと思います。では次回はプライマー設計について解説していきます。

では今日はこの辺で~